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15- D- 0129 201 5 年 5 月 1 9 日
総合小売業大手各社の 15/ 2 期決算の
注目点
総合小売業大手各社(イオン、セブン&アイ・ホールディングス、ユニーグループ・ホールディングス) の 15/ 2 期決算および 16/ 2 期業績予想を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J CR)の現況に関する認識と格 付上の注目点を整理した。
1.
業界動向
14 年 4 月の消費税増税後、円安などによる物価上昇や夏場の天候不順もあり、個人消費の回復が遅れて いる。日本チェーンストア協会が公表している既存店売上高をみると、14 年 3 月には消費税増税前の駆け込 み需要により前年同月比 9.4%増となったが、14 年 4 月から直近の 15 年 3 月にかけて減少が続いている。足 元では雇用状況の改善、賃金引き上げの動きの拡大など個人消費にとってプラスに働く要素もみられるもの の、中長期的には 17 年 4 月の消費税再増税、人口減少など厳しい状況が続くと考えられる。
個人消費の回復が遅れる中、同業他社や他業態との競合は激化している。中でも総合小売(GMS)事業は、 衣料専門店やドラッグストア、ディスカウントストアの台頭により、苦戦を強いられている。相対的に粗利 益率が高い衣料品では、SPA (製造小売)型専門店の攻勢により長期にわたり低落しており、収益低下の主 因となっている。
このような中、総合小売業大手では、収益力強化に向けて業界再編の動きを活発化させている。イオンは、 15 年 3 月にグループのスーパーマーケット(SM)であるマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東を経営統 合し、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスを発足させた。セブン&アイ・ホールディン グス(セブン&アイ)では、14 年 1 月にオムニチャネル推進に向けて、通信販売事業を行うニッセンホール ディングスを連結子会社化した。ユニーグループ・ホールディングス(ユニーグループ)は、コンビニエン スストア(C V S)事業の基盤強化などを目指し、ファミリーマートとの経営統合に向けた協議を開始した。
近年、総合小売業大手は、プライベートブランド(PB)商品の開発、拡販に注力している。15/ 2 期の売 上高は、セブン&アイグループが展開する「セブンプレミアム」が 8, 150 億円(前期比 21. 6%増)、イオン グループの「トップバリュ」が7, 799億円(同 5. 2%増)、ユニーグループの「スタイルワン」、「プライムワ ン」が1, 120 億円(同12. 0%増、14/ 2 期は 12 ヶ月8 日の変則決算、以下同様)と各社ともに拡大している。 また、既存店活性化対策として、地域特性に対応した商品開発、品揃えの充実を図っている。セブン&アイ では、個店が主体となる運営体制の構築を進めている。イオンでは、地域単位で経営判断が出来る体制の構 築に向けた組織改革を行い、本部組織のスリム化とともに店舗中心の人材強化を進めている。
2.
決算動向
15/ 2 期の総合小売業大手 3 社の決算は、イオンが増収営業減益、セブン&アイが増収営業増益、ユニー グループが減収営業減益と、前期に続いてまちまちの結果となった。各社に共通している点は GMS の不振 であり、3 社とも GMS 事業(セブン&アイはスーパーストア事業、ユニーグループは総合小売業)は大幅な 営業減益に終わった。このような中、C V S 事業など GMS 事業以外の収益力や競争力が、グループ全体の営 業利益の動向に影響を及ぼしたといえる。
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(同 52. 3%減)と落ち込んだ。GMS 事業の中核企業であるイオンリテールが、客数減による既存店売上高の 減少(同 2. 8%減)、粗利益率の低下などにより、大幅な営業減益となったことが影響した。
セブン&アイは既存店売上高がプラスであった C V S 事業が牽引し、5 期連続の営業増益となり、過去最高 益を 4 期連続で更新した。セグメント別では、C V S 事業が 2, 767 億円(前期比 7.5%増)、金融関連事業が 472 億円(同 5.1%増)と増益であった。その一方、スーパーストア事業は 193億円(同 34. 8%減)と減益 になった。イトーヨーカ堂が、既存店売上高の減少(同 4. 5%減)と衣料品の粗利益率低下により大幅な営 業減益となったことが主要因である。
ユニーグループは、主力の総合小売業、C V S 事業ともに苦戦し、3期連続の営業減益となった。さらにユ ニーで収益性の低下した店舗について減損損失を計上し、最終赤字となった。セグメント別では、総合小売 業が 90 億円(前期比 26. 3%減)、C V S 事業が 76 億円(同 19.5%減)、専門店事業が 12 億円の赤字(前期は 7 億円の赤字)と軒並み減益であった。総合小売業のユニーでは既存店売上高の減少(同 2. 9%減)、衣料品 の粗利益率低下が影響した。また、C V S 事業のサークル K サンクスでも客数減に伴う既存店売上高の減少 (同 3.6%減)、賃借料の増加などが減益の要因となった。
16/ 2 期は GMS事業の利益改善などを織り込み、各社とも増収営業増益を計画している。地域特性に対応 した商品開発や品揃え充実などへの取り組み、既存店改装、PB 商品の拡充などの成果、国内消費環境の改 善期待がその背景にある。
15/ 2 期末の財務状況をみると、当期純損失となったユニーグループを除いた 2 社で自己資本が前期末比 で増加した。一方、積極的な設備投資の実施により、各社とも有利子負債が増加傾向にある。16/ 2 期の設備 投資は 3社ともに前期比増加の計画である。ただ、イオンでは投資採算の精査や投資環境を踏まえたスケジ ュールの見直しを行い、15年度および 16 年度の累計投資額を削減するとともに、新店投資を抑制して既存 店改装投資を増やしている。
3.
決算に
お
け
る
格付上の
注目点
GMS 事業では、長引く消費不振や他業態との競合激化などから収益が減少していたが、15/ 2 期決算では 収益力の低下がさらに目立つ結果となった。15/ 2 期に総合小売業大手 3 社の中で唯一営業増益を確保したセ ブン&アイでもGMS 事業の不振が響き、営業利益は期初計画(3, 560 億円)に届かなかった。各グループと もに営業利益の拡大に向けて、GMS 事業の立て直しが喫緊の課題である。既存店活性化施策の進捗とその成 果、営業収益や営業利益の動向に引き続き注意を払っていく。
GMS 事業以外でも、収益が悪化した小売関連事業がみられた。セブン&アイではC V S 事業が好調であっ たものの、通信販売事業が 75 億円の営業赤字であったほか、営業増益となった百貨店事業も十分な収益貢 献を果たしているとは言い難い。イオンでは前述の通り、SM・DS・小型店事業が営業減益になった。ユニ ーグループではサークルK サンクスが不振であったほか、専門店事業の営業赤字も拡大した。各社ともに収 益改善に向けた取り組みを進めており、早期にその成果を発現していく必要がある。
財務面では各グループとも積極的な投資により、有利子負債が増加傾向にある。今後も成長に向けた投資 が行われていくものと予想されるが、投資実績とその効果、財務改善状況を確認していく。
業界再編の動向が注目される。J C R では、経営統合に向けた協議を開始したユニーグループとファミリー マートについて、その帰趨および進捗状況を注視し、シナジー効果や財務構成への影響などを勘案して、格 付に織り込んでいく方針である。
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(図表 1)総合小売業大手 3 社の連結業績 (億円)
企業名 決算期 営業収益 営業利益 経常利益 当期純利益
イオン 14/ 2 期 63, 951 1, 714 1, 769 456
( 8267) 15/ 2 期 70, 786 1, 414 1, 525 421
16/ 2 期(計画) 80, 000 1, 750 1, 650 425
セブン&アイ 14/ 2 期 56, 318 3, 397 3, 391 1, 757
( 3382) 15/ 2 期 60, 389 3, 433 3, 415 1, 730
16/ 2 期(計画) 64, 000 3, 730 3, 680 1, 930
ユニーグループ 14/ 2 期 10, 321 253 251 74
( 8270) 15/ 2 期 10, 190 202 205 - 24
16/ 2 期(計画) 10, 364 235 230 48
(図表 2)総合小売業大手 3 社のセグメント別営業利益 (億円)
イオン(8267) セブン&アイ(3382) ユニーグループ(8270)
14/ 2 期 15/ 2 期 14/ 2 期 15/ 2 期 14/ 2 期 15/ 2 期
GMS、SM・DS・小型店 529 68 297 193 122 90
CVS - - 2, 575 2, 767 95 76
金融 409 531 449 472 37 39
ディベロッパー 434 432 - - - -
サービス・専門店、百貨店 234 246 66 71 - 7 - 12
その他 70 99 28 - 38 8 8
連結調整 40 37 - 18 - 32 - 2 0
合計 1, 714 1, 414 3, 397 3, 433 253 202
(図表 3)総合小売業大手 3 社の連結財政状態 (億円)
企業名 決算期 自己資本 有利子負債額 自己資本比率
イオン 14/ 2 期 11, 201 15, 315 16. 4%
( 8267) 15/ 2 期 12, 063 17, 759 15. 3%
セブン&アイ 14/ 2 期 20, 957 9, 344 43. 6%
( 3382) 15/ 2 期 22, 997 9, 483 43. 9%
ユニーグループ 14/ 2 期 2, 971 3, 352 31. 3%
( 8270) 15/ 2 期 2, 926 3, 410 30. 7%
注:有利子負債額は借入金、社債、C P の合計
(図表 4)総合小売業大手 3 社の設備投資額 (億円)
企業名 決算期 設備投資額
イオン 14/ 2 期 4, 052
( 8267) 15/ 2 期 4, 511
16/ 2 期(計画) 4, 900
セブン&アイ 14/ 2 期 3, 368
( 3382) 15/ 2 期 3, 411
16/ 2 期(計画) 4, 600
ユニーグループ 14/ 2 期 780
( 8270) 15/ 2 期 657
16/ 2 期(計画) 710
注:ユニーグループの 14/ 2 期決算は 12 ヶ月 8 日の変則決算
(出所: 図表 1∼4 とも各社決算資料より J C R 作成)
【参考】
発行体:株式会社セブン&アイ・ホールディングス
長期発行体格付:A A + 見通し:安定的
発行体:ユニーグループ・ホールディングス株式会社
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